近年、お墓を管理する人がいなくなったり、お参りする人がいなくなって放置されている遺骨が問題となっています。
特に地方では、子供たちが都心部へ定住したために地元のお墓を整理する人がおらず、荒れ放題のままのお墓も増えています。
そこで今、注目されているのが、昔からある墓石を用いた埋葬ではなく、樹木や海など自然に由来した埋葬方法です。
しかしただ自然に還せば良いわけではなく、埋葬には決められた法律があり、それらに則って行うことを知っておく必要があります。
お葬式や埋葬は、残念ながらいつその時が来ても何らおかしくない事柄であるため、事前に調べておき、慌てることがないように心がけたいものです。
お骨の埋葬では決められた法律を守る必要がある
「樹木の元にお骨を埋めて土に還す」と思っている人も多いと思われますが、実は「土に還る」のではなく「墓石の代わりに樹木を用いる」と言った方が正しい解釈と言えます。
まず一つに、「お骨を埋めてよい土地が決められており、自宅の庭などに勝手に埋めてはいけない」ということが前提として挙げられます。
日本には、「墓地と埋葬に関する法律」がしっかりと定められており、お骨の埋め方や埋める場所、必要な書類などがしっかりと定められています。
基本的には、樹木葬を取り扱っている寺院や墓地管理会社に問い合わせて空きスペースを確保し、一般的なお墓と同じような手順を踏みます。
勝手に埋めると法律に違反し逮捕されることもあるので、けして勝手な行動を起こさないように気を付けてください。
また、使用する樹木はシンボルツリーとして敬われるため、よく考慮して選ぶ必要があります。
最近では桜やハナミズキ、菩提樹などが人気ですが、寺院や管理会社の規定に基づいて選ぶ場合もあるため、よく調べてから樹木を購入してください。
埋葬に関する書類を大切に保管しておく
具体的な埋葬の仕方としては、まずは生前もしくは埋葬前に寺院や管理会社を見学して空きを確認し、契約を交わす必要があります。
この時永代使用料や埋葬料などを提示されるので、よく確認しておくことが大切です。
そして、使用許可書を交付してもらうことで、正式に埋葬場所を確保したことになります。
続いて、実際に故人が亡くなった後は、役所に死亡届を提出し、火葬許可書を発行してもらいます。
その後、火葬が済むと埋葬許可書が発行されますので、大切に保管しておき、納骨の際にお骨と共に持参し、契約した墓地に行って埋葬します。
ここまでは一般的な墓地と変わりありませんが、必要書類がいくつか発生するため、大切に保管しておきましょう。
埋葬には三つの方法がありそれぞれで料金が異なる
樹木葬には、「合祀型」と「共同型」、「個人型」の三つの方法があり、それぞれでお骨の埋め方や料金などが異なってきます。
合祀とは、お骨を骨壺や袋から取り出し、他の人の骨と一緒にして埋葬する方法です。
埋葬料が一番安く、身寄りがない人やお参りしてくれる友人が少ない場合に選ばれる方法です。
共同型は、お骨を骨壺や袋に入れた状態で、共同スペースに並べて埋葬する方法です。
個人で埋めるより埋葬料は安く、他の人のお骨と一緒になることがないのが特徴です。
個人で埋葬する場合は墓石を用いた方法と全く同じで、個人のスペースに樹木を埋めるため土地代が発生し、比較的、金額が高くなると予想されます。
墓石と異なる点は、樹木が成長するにしたがって景観が変わったり、樹木の手入れを寺院や管理会社が行ってくれる点です。
また、故人の名前入りのプレートを立てたり、お参りしやすいように整備することも可能と言えます。
勝手に樹木を切ったり、後から植え増したりはできませんが、樹木が大きく青々と成長する姿から、故人のことを偲んだり気持ちを落ち着かせることができます。
故人のためにどのような埋葬を行うかは、残された家族の判断に委ねられます。
昔からある墓石の埋葬も良いですが、自然の景観に溶け込み、環境にも優しい樹木葬もおすすめです。
「遠方に住んでいて管理できない」「なるべく自然なかたちが良い」と希望する人は、正しい埋葬方法を知って、近くの墓地や管理会社へ問い合わせて事前に契約を交わしておくと安心できます。